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かなわないわかい / 叶わない和解
2013年
ナイロンストッキング、布、糸、手芸わた、化粧品、造花、ビーズ、ベビーパウダー
H23×W90×D28cm
この作品を縫うことは、母系血族(彼女たちは下肢に特徴的な遺伝性障害を持つ)への個人的な受容、赦しの為に必要な作業であった。
圧倒的な「手作業」の量、それにかかる時間の蓄積、記憶の反芻。
延々と終わりなく繰り返される行為それ自体を渇望していた。
もとの布地が覆い隠されるほど、糸を過剰に縫い重ねる。
その作業は、フラッシュバックに似た私的な回顧へ自らを鈍麻させていく過程でもあった。
呪いを感じさせる外観の人形は、実際には祈りの性質を伴う。
個人的な<母性観—女性観>を覗きこむ作業の中で、対象は、私的な「女」を経て深層部分へ拡がった。
そして、生命全体への祈りや願い、憧れに手を伸ばそうとしている。
この過程によって、「行為」に「表現」の意識が与えられた。
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