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約束された子供
2013年
ナイロンストッキング、布、糸、手芸わた、化粧品、造花、ビーズ、ベビーパウダー
H50×W40×D70cm
この立体は、空想上の「わたしの赤ん坊」との婚姻の物語である。
架空の赤ん坊は、この世に生を受けない。
なぜなら、母体である「わたし」は生殖機能を持たないからだ。
経口栄養を拒み、嘔吐によってしか「わたし」が「わたし」の肉体に触れられない時期があった。
口を介して与えられる栄養、すなわち母乳の拒絶。母性への葛藤と逡巡。
そして自らの女性性についての長い思索。
その代償あるいは対価として、子宮の機能の一部は失われたのである。
一人の成熟しない清らかな娘としての精神と、母となりえた性別を持ちながら今ただ老いてゆく肉体。
「わたしの赤ん坊」との約束—それは在りようの不一致な精神と肉体を結ぶ永遠の契りである。
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